音の長さに「忠実」すぎる音符の変換を行ってしまう量子化処理に代わる手法に ついては、人工知能の研究者らの研究対象として興味が持たれた。Desainら [3]は、隣接する音の長さの比が有理数になれば安定するエネルギー 関数、安定するまで処理を繰り返す方法などを提案した。また、Rosenthal [4]は、様々な規則を用いてリズムの持つ階層的な構造を 表現するモデルを用いて推定する手法を提案した。
我々[5,6]は、リズム認識を音声認識と同型の認 識の問題として定式化し、音声認識で用いられる確率モデルの枠組 を利用して隠れマルコフモデル(Hidden Markov Model, HMM) によりリズム認識を行うことを提案した。 Cemgil ら[7]は、テ ンポを内部変数としたKalman Filter を用いることにより、 Raphael[8]は テンポと音長の依存関係を表現したグラフモデル を用いることで、やはり音長やテンポの変動を確率的にモデル化し推定を行った。