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今後のリズム認識研究

連続音声認識の確率モデルを導入し、音長変動やリズムの表れやすさを確率的に 扱うことが可能となり、その結果、従来よりも高性能なリズム認識が可能となっ た。しかし、現段階では、確率的に扱えているのは楽曲や演奏の局所的な性質の みであり、例えば、曲全体での繰り返し構造などの大局的な構造についての情報 は扱われていない。局所的な性質のみでモデルを構成していることは、問題が部 分問題に還元されることを意味し、効率的な探索を可能にしている。大局的な構 造を扱い、効率的な(実時間内での)計算が可能であるモデルの研究が今後の課題 であろう。

リズム認識に確率モデルを導入する研究は、世界でほぼ同時期に独立に行われ、 今では一般的になりつつある。音声認識では、世界中に多くのコーパスが存在す るが、リズム認識を含む音楽研究のためのコーパスは少ない。日本では、後藤ら が音楽情報処理研究で使える音楽データベースを作成した。また、片寄らは、音 楽演奏と楽譜との対応付けを行ったdeviation のデータベースの作成を進めてい る。データベースの拡充に伴い、統計的学習を行う確率モデルを用いる種々の研 究は発展するであろう。



平成16年9月23日