next up previous
次へ: 本方法の性質 上へ: 周波数領域での幾何学的処理 戻る: マイクロホンアレー入力の周波数領域での分布

対象音源のスペクトルの推定

前節の議論より、3個以上のマイクロホンについて$M_i(\omega )$を観測し、 複素平面上で多角形の外接円の中心を求めれば 対象音源の短時間スペクトル$S(\omega )$を求めることができる。 これに対し、DSによって求まる信号の短時間スペクトルは図1 において 多角形の重心にあたるので真のスペクトルと一致しない。

それぞれの$M_i(\omega )$の観測値には誤差が含まれていることを考慮して、 本方法では$S(\omega )$の推定値として

$\displaystyle \tilde{S}(\omega )=\mathop{\rm argmin}_{Y(\omega )} {\rm\mathop{\mathrm{Var}}\nolimits [\Vert M_i(\omega )-Y(\omega )\Vert^2]}$     (3)

で表される $\tilde{S}(\omega )$を用いた。 ただし $\mathop{\mathrm{Var}}\nolimits [\cdot]$$\cdot$の分散を表す。

多角形の外接円の中心を求める演算は雑音のスペクトルに対して非線型な処理であるので、 線形フィルタによる処理とは性質が根本的に異なる。 また、適応学習処理を必要とせず、フレーム単位で信号スペクトルが推定できる。



平成16年3月25日