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マイクロホンアレー入力の周波数領域での分布

対象音源、および単一の雑音源から音響信号が平面波で到来する場合、 対象音源と雑音源の方向が異なると、 それらの信号はマイクロホンによって異なった時間差を もって加算されることになる。 各マイクロホンで観測した信号に それぞれ適当な遅延を加え対象音源からの信号の時間差を補正することにより $i$番目のマイクロホンでの観測波形$m_i(t)$
$\displaystyle m_i(t)=s(t)+n(t-\tau_i)$     (1)

と表せる。 ここで$s(t)$$n(t)$はそれぞれ対象音源と雑音源の時刻$t$の信号、 $\tau_i$$i$番目のマイクロホンでの雑音信号の時間遅れである。 これを共通の分析フレームでそれぞれ離散時間フーリエ変換すると周波数$\omega $の成分は
$\displaystyle M_i(\omega )=S(\omega )+N(\omega )e^{-j\omega \tau_i}$     (2)

となる

式 (2) を幾何学的に考えると 図1に示すように、$M_i(\omega )$は複素平面上において 全て$S(\omega )$を中心とし半径 $\Vert N(\omega )\Vert$の円上に分布する。

図 1: 観測信号の周波数成分の複素平面上での分布
\includegraphics[width=0.7\linewidth]{eps/compplanefig2.eps}


表 1: 単語正解精度(%)の比較(シミュレーション)
マイク数 雑音源1個 雑音源2個 雑音源3個 雑音源5個
  DS 本方法 DS 本方法 DS 本方法 DS 本方法
1 42.2 -5.7 -27.4 -27.5
3 51.1 87.1 13.2 57.0 -12.2 1.0 -14.8 -14.0
4 54.1 87.9 10.5 21.6 -2.6 20.1 -8.1 0.3
8 55.1 88.0 22.9 73.6 7.7 60.6 8.2 49.0
16 55.7 88.0 25.3 75.1 11.2 60.6 18.6 55.5


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平成16年3月25日