協奏曲何番?

中学校のころ音楽好きを自覚し始めた。私の両親はおよそ音楽に縁の無い人達で、私の音楽好きはどこから来たのだろう、と(父は亡くなったが)いまも言われる。 中学校1年生の入学して間もない頃、教室で国語の授業を受けていると、2室離れた音楽室からうっとりするような音楽が聞こえて来た。授業が終わると音楽室に飛んで行った。いまから考えるとよくあんな勇気が出たものだ。初対面の音楽の先生に「今の音楽は何ですか」と尋ねると、先生は「メンデルスゾーンのバイオリン協奏曲だよ」と教えて下さった。生意気にも私は「何番ですか」と尋ねて笑われたものだ。音楽を聴く機会も学ぶ機会も殆んどなかった私でも、AMラジオで時々流れるクラシックで協奏曲には何番という番号が付くことが多いことを知っていたらしい。

当時はラジオは真空管式で、無論FM放送なんてなかった。だからAMラジオはテレビ以外にクラシック番組を流す唯一のメディアだったのだ。また、いわゆるポップスがなかった時代で、クラシックとジャズと歌謡曲という3分類で済んでいたころでもある。やがて高校に入って、合唱部に入って、それからは毎日が音楽漬けの日々を送ることになる。 (FM放送は高校生になったころ話題になっていたが、実際に聴いたのは高校の修学旅行で九州に向かう夜行船の中で、同級生が持って来たトランジスタラジオだった。)