隠れマルコフモデルによる音楽演奏からの音符列の推定

(Hidden Markov Model for Restoration of Musical Note Sequence from the Performance) (SIGMUS1999decにて発表)

齋藤直樹 中井満 下平博 嵯峨山茂樹
(北陸先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 / 〒923-1292 石川県能美郡辰口町旭台1-1)

本稿では、隠れマルコフモデルを用いて人間によって、鍵盤演奏された音符音長 系列情報(スタンダードMIDIファイル)から意図された音符列を推定する手法を提 案し、実験によりその有効性を実証する。人間が音楽演奏するときの各音符の物 理的長さは、音符の正規の音長から意識的・無意識的に揺らぐため、楽譜投入・ 自動採譜などでは、意図された各音符の音価を正しく推定するのは容易ではない。 本研究では、連続音声認識の定式化に倣って、演奏入力を音楽的に理解する原理 を隠れマルコフモデル(HMM)によりモデル化し、意図された音符列を推定する。 更に、同じ原理によりテンポ変化推定・小節線推定・拍子推定を提案する。評価 実験により、一般に用いられている閾値処理より良好な結果が得られることを示 す。